美容所は全国に27万施設。開業前に決めることは多い

厚生労働省によると、全国の美容所は令和6年3月末で274,070施設、前年度から1.5%増えています。 開業の準備では物件、内装、融資、保健所への届出と、決めることが一度に押し寄せます。 その中でセット面は「内装が決まってから選ぶ家具」と考えられがちですが、実際には順番が逆です。 ここでは、公的な基準と調査データから、セット面を先に考えるべき理由を5つにまとめます。

1. 台数が、必要な作業室の面積を決める

美容所には、美容師法と自治体の条例で構造設備の基準があります。 東京都や大田区などの基準では、作業室は13㎡以上が必要で、13㎡で置ける美容いすは6台まで。 7台目からは1台増えるごとに3㎡を加えた面積が必要です。 ここでいう美容いすには、セット椅子だけでなくシャンプー椅子なども含まれます(目黒区の案内より)。

美容いす(セット椅子・シャンプー椅子など)の台数と、必要な作業室の面積(東京都などの基準)
台数必要な面積坪の目安
1〜6台13㎡以上約3.9坪
7台16㎡以上約4.8坪
8台19㎡以上約5.7坪
10台25㎡以上約7.6坪

面積は内法(壁の内側)で測ります。客待ちの場所は作業室と区画する必要があり、作業室の面積には含みません。 基準は自治体ごとに条例で定められていて、たとえば千葉県では1台で6.6㎡、1台増えるごとに3.3㎡です。 細かな条件は管轄の保健所で確認してください。

これは「最低限この広さが要る」という基準で、快適に施術できる広さとは別です。 それでも、物件を探す段階で何台置くかが決まっていないと、その物件で基準を満たせるかを判断できません。

2. 席数が、売上の上限を決める

美容室の売上は、おおまかに次の掛け算で決まります。

席数 × 1席あたり1日の来店数 × 客単価 × 営業日数

たとえば3席、1席あたり1日2.5人、客単価8,000円、月25日営業なら、月150万円が上限です(数字は計算のための仮の値です)。 席が少なすぎると予約が埋まって断ることになり、多すぎるとスタッフが足りず空席が出ます。 実際に回せる席数はスタッフの人数で決まるので、開業時の人数と、数年後に増やしたい人数の両方から台数を考えます。

あとから1台足すには、面積の基準に加えて、照明とコンセントの配線、壁の下地も必要になります。 将来増やす予定があるなら、その分の配線と下地を開業時の内装工事に入れておくと、増設の工事が小さく済みます。

3. お客様が、店内でいちばん長く過ごす場所

カウンセリング、カット、カラーの塗布と放置、ブロー、仕上がりの確認。 シャンプー以外の工程のほとんどは、セット面の鏡の前で行われます。 お客様は鏡越しに美容師と話し、鏡で自分の髪を確かめます。

リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが2023年に行った調査(20〜59歳の女性1,300人)では、 美容室を「また利用したい」と思った場面の上位に、次の項目が並びました。

「また利用したい」と思った場面(来店から仕上がりの確認まで・複数回答)
項目割合
受付時の対応が丁寧48.7%
スタッフの技術が高い48.1%
仕上がり確認をきちんとする46.5%
話や希望、相談を聞いてくれる45.8%
待たされることが少ない41.5%

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「顧客満足調査(MOT)美容室編」(2023年7月、リピート意向者1,000人)

上位は技術と接客で、内装そのものではありません。 ただ、「仕上がり確認」も「相談を聞く」も、鏡の前で行われる時間です。 鏡が暗い、映りが歪む、隣の席との距離が近くて話しにくい。 セット面の条件が悪いと、技術と接客のよさがお客様に伝わりにくくなります。 反対に、お店を変えようと思った理由には「清潔感がない」(14.0%)も挙がっていて、 毎日手が触れる天板や鏡まわりの素材は、掃除のしやすさで選ぶ価値があります。

4. 照明と鏡で、髪色の見え方が変わる

カラーの仕上がりは、鏡の前の光で確かめます。 光の色温度が低い(2700Kなど)と暖かく、高い(5000Kなど)と白く見え、同じ髪色でも印象が変わります。 美容師法でも、美容所には採光・照明を十分にできる設備が求められていて、目黒区や千葉県では作業面の照度を100ルクス以上と定めています。 天井の照明だけでは顔に影が落ちやすいため、鏡まわりに照明を組み込むかどうかは、開業時に決めておきたい項目です。 色温度の選び方はLEDの色温度の選び方にまとめています。

5. あとから変えると、内装のやり直しになる

片面(壁付け)なら壁の下地補強、両面(アイランド)なら床への固定と、床からの配線の立ち上げが要ります。 照明とコンセントを使うなら、配線は内装工事の範囲です。 どれも壁と床が仕上がる前にしか手を入れられないため、内装が終わってからセット面を選ぶと、やり直しの費用がかかります。 決める順番は独立開業でセット面を決める順番で詳しく説明しています。

また、美容所はあらかじめ保健所に届け出て、構造設備の検査で確認を受けたあとでないと使用できません(美容師法 第11条・第12条)。 検査はセット面を含む設備がそろった状態で受けるので、セット面の納期は検査日から逆算します。

開業資金の中のセット面

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、開業費用の平均は975万円でした(全業種)。 美容室の場合、その多くを内装工事と設備が占めます。 セット面は1台あたり、既製品で8万円前後、内装会社のフルオーダーでは安くても60万円からが目安で、席数分が必要です。 3席なら既製品で約24万円、フルオーダーでは180万円以上と、選び方で開業資金が大きく変わります。

セミオーダーの salomirror はスクエア型の片面で¥192,000から(税別)。 違いは既製品・フルオーダー・セミオーダーの比較に、 内訳はセット面の価格と構成例にまとめています。

開業準備で、セット面について決めておくこと

  1. 開業時の席数と、将来増やしたい席数
  2. 片面(壁付け)か両面(アイランド)か。片面と両面どちらを選ぶか
  3. 鏡まわりの照明の有無と色温度
  4. コンセントの数と位置(ドライヤー・アイロンを使う位置)
  5. 保健所への事前相談(物件を決める前)と、検査日から逆算した発注日

1〜4は、3Dシミュレーターで形と金額を確かめながら決められます。 選んだ構成は構成シート(PDF)に書き出せるので、内装会社との打ち合わせや融資の資料にそのまま使えます。

出典

よくある質問

美容室のセット面は、何㎡あれば何台置けますか?
東京都などの基準では、作業室の面積は13㎡以上が必要で、13㎡で置ける美容いすは6台までです。美容いすにはセット椅子だけでなくシャンプー椅子なども含まれます。7台目からは1台増えるごとに3㎡を加えます(7台で16㎡、8台で19㎡、10台で25㎡)。面積は内法(壁の内側)で測り、客待ちの場所は含みません。基準は自治体の条例で定められ、千葉県のように1台6.6㎡、1台ごとに3.3㎡とする地域もあるため、物件を決める前に管轄の保健所へ相談してください。
美容室の開業で、セット面はいつ決めればいいですか?
物件を決めて内装の図面を描く前です。台数で必要な作業室の面積が決まり、照明やコンセントの配線、壁の下地補強の位置も台数と仕様で決まるためです。
保健所の検査はいつ受けますか?
美容師法により、美容所はあらかじめ保健所に届け出て、構造設備の検査で確認を受けたあとでないと使用できません。セット面を含む設備がそろった状態で検査を受けるので、セット面の納期は検査日から逆算して決めます。
セット面1台あたりの費用はどのくらいですか?
既製品は8万円前後、内装会社のフルオーダーは安くても60万円からが目安です。セミオーダーの salomirror はスクエア型の片面で¥192,000から(税別、送料・取り付け費別)です。
お客様は美容室の何を見てリピートを決めていますか?
リクルートの調査(2023年)では、また利用したいと思った場面として「受付時の対応が丁寧」48.7%、「スタッフの技術が高い」48.1%、「仕上がり確認をきちんとする」46.5%、「話や希望、相談を聞いてくれる」45.8%が上位でした。カウンセリングや仕上がりの確認は、多くの場合セット面の鏡の前で行われます。